Posted 17 Jul, 2020

Suzuki Hustler

(NA+マイルドハイブリッド・2WD)
最初の印象

何とか走りをまとめようとした形跡がないわけではないが、前型が持っていた、日常速度域におけるある種軽快なリズム感は消えている。

やっぱりこのボディ、スズキが「軽量化=鋼板板厚削減、車体全体の比剛性は旧型同等」を掲げて再設計した車体骨格は、クルマの「剛性」というものへの理解が浅く、どういじってみてもその基本的弱点は消せない、と見ざるをえない。タイヤが叩かれた振動を受けた時、ステアリング入力あるいは路面入力によってよく力が加わったときなどペダルから踵にかけての足が車体骨格に触れている部位から前方が、振動し、たわむ感触がつきまとう。この骨格を共用する車種に共通する感触である。

ステアリングの手ごたえと反応

ステアリングは、中立周辺からその先まで、常に「ねじり重い」手ごたえが付いてまわる。手を動かし、止める・押さえる中でステアリングに伝わる手ごたえの中に、ステアリングシャフトから先の機構系の変形、マウント類の弾性変形やたわみと思われるグニャッとした感触が様々に混じる。ということは、タイヤ側の反応にはケースねじれ、接地面の摩擦発生・増減ともに遅れがかなり大きい。

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とはいえそれは昨今の日本の軽乗用車のアベレージ程度で、一応、切り込む~戻す手の動きに対して、30~60km/hまでの実用低速域では「それなり」のタイヤの反応は現れる。ただねじり方向にステアリングからタイヤに伝わる動きの遅れはかなりある。据切り~低速ではやや重めで、ここは過剰にアシストを上乗せすると軽くはなるけれども反力の弱さと位相のズレに手が動きすぎてフラつくことを嫌ったかな、と思われる。中速域はそのままアシストを減らし気味にして、70km/hを境に重く、というより中立周辺の固着感だけが強まる。

軽自動車はどれもこんなもの…とはいえ、ステアリング・ギアボックスも、電動アシストのモーターからの減速ギアも、噛み合いが雑なのが食いつき感触の変動として手に感じられ、同時にギア群の、さらにモーターの機械精度が低いことも、手の先で何かが回転する動きのざらつきやふらつき、一定のリズムで手を左右に動かした時の左右差(これも強く現れることが時々ある)など、様々な変動現象から感じ取れる。手ごたえの中にそれらが混在することで、ちょっとした状況で操舵の中に現れる反力や保舵の感触が一定のリズムと重さで再現されないし、アシストトルクのふらつき、固着感も、意味不明な形で現れがち。

さらに加減速の中では駆動反力や制動力が加わった時に、直進近傍でもステアリングシャフトまわりの固着感が現れ、フリーに転がる状況になるとそれが消える相乗も出ていた。これはパワーパッケージのマウントの動きに加えて前後力を受けた時のロワーアーム・ピボットの変形によるアライメント変化、そして何よりアップライト=ハブキャリアまわりの剛性不足によるものと推測される。また今回、ちょっとした偶然からタイヤ内圧を指定圧(240kPa)より20kPaほど高めた状態で走る機会があったが、ここまで語ったようなタイヤ反力としての重さや機構系の雑味を伝える渋さなどの変動hがより大きくなり、全体として操舵感覚が大きく低下した。内圧が高いと接地面の膨らみが強くなって接地面積が幅方向に減少、タイヤそのもののSAT(セルフアライニングトルク)が減ることで、操舵反力の中にタイヤ以外からの変動がより強く現れたのだろうと思われる。つまり、本来あるべきタイヤからの舵を戻す方向の力以外に、ステアリングの手ごたえを変動させる要素が多い、ということになる。

今回はタイヤの内圧差の影響が大きかったわけだが、タイヤそのものの違い、あるいは摩耗などによって現れる摩擦とその伝達特性の違いが、センシティブな形でステアリングの手ごたえや操舵反応の変化やズレとなって現れる。これが電動パワーアシストの非常に難しいところであって、そこをどう補ってゆくか、そろそろ真剣に取り組んでほしいものだ。前述の「制御の速度項」、車速によってアシスト量の制御を折れ線状に切り替える手法にしても、「定石」をなぞるのではなく、その意味を考え、実際に「体感する」ところから、機械要素と制御の両方を再構築すること、ここから始めたい。

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