Posted 21 May, 2020

Jeep Wrangler Unlimited 3.6L

キャビン・レイアウト

もちろんキャビンフロアはそれなりに高く、サイドステップを踏んでスクエアなドアから運転席に入ると…。フロアからの高さが適度にあるシートにアップライトな姿勢で座り、フロント、サイドともに角度が立ったウィンドウガラスのスクエアな空間の中に上体~頭が収まる。アイポイントは高く、見晴らしは良いが、かといって高過ぎはせず、ちょうどいい収まり方である。

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その一方で、「今日のSUVの中ではアップライトな着座姿勢設定のクルマ」と言って通用するシーティング・レイアウトであり、乗用車としても十分に快適な空間となっている。ペダルまわり、ステアリングコラム角度なども日本人の中でも小柄な方であっても違和感はほとんどない。むしろAM95サイズが乗ると、上体~頭部がBピラーの横まで後方に位置するはずだが、それもそれなりに収まるパッケージングである。今日のアメリカの事情を反映して、AF50パーセンタイルかそれより小さな体型まで無理なく座れて運転操作ができるように組んであると思われるし、それもCADの中で硬直して関節部分も少ないソリッドモデル(ダミー)で検討するだけで済ませる最近の日本各社とは違って、ちゃんとフルサイズ・モックアップを組んで、様々な被験者・評価者が座って確認しているはず。そうでないとここまでのまとまりにはならない。ちゃんとオーソドックスな手順を踏んでいるクルマづくりであることが伝わってくる。

個人的にはステアリングコラムがもうほんの少し上向きでも良いかと思う。ステアリングホイールの外径は最近ではやや大きめではあるけれど、太めの革巻きグリップがいかにも今のSUVふう、であって、これを昔ながらのジープほどではないにしても、まずグリップを細くして、悪路踏破時のキックバックを受けないように親指をリムの上に乗せる握り方が自然にできる断面形状にすれば、このコラム・アングルでもちょうどいいかなとも。

ペダル角度・動きも旧ジープとはずいぶん違うのは当たり前だが、この運転姿勢に合わせて、少し上から踏み下ろす角度と動きにレイアウトされている。膝の折れ角、そこから下の脛~足首の角度に対応し、自然な動きができるようになっている。強いて言えば、2ペダルの両側、とくに左側に、自然な体勢で脚を少し左右に広げた体勢で踏めるフットレストが欲しい。LHD(Left Hand Drive:左ハンドル)ならホイールアーチがその役割をしてくれるのだが。

そういえば車体側からドアに入るハーネスがむき出しにレイアウトされていて、ちょっとヘビーデューティな外観の耐水布カバー・チューブの中を通してあるのが面白い。この布の蛇腹チューブが室内に露出している。これはこれでファッション。ただ運転席ではアクセルペダルを踏んでいる右足に軽くこすれたりしたけれど。

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台形ボンネットフードが前方視界の下部に伸びているのも車両感覚のつかみやすさにつながっている、のは確かだが、じつはその両側にジープならではのフェンダーが張り出しているし、ノーズ前方にはバンパーがかなり大きく突き出している。その「見えない」車体の張り出し量を感覚的につかみやすいのは、やはりピラーとガラスが直線的かつアップライトな空間を構成していて、その中に収まると四角い「箱」の組み合わせとなっている車体の各部をイメージしやすいのだと思う。逆に、台形の平面形を持つボンネットをオフセットした運転席から見る視覚情報に頼ると、駐車時にまっすぐにならないなど、車両中心線をイメージしにくい。付け加えるなら、大きく張り出したバンパーは両サイドを大きく斜めにカットした、これも台形の平面形であり、前輪舵角が十分に取ってあることと合わせて、狭隘な路地などでの取り回しに貢献している。

ドライバーズシートは、座ると最初はなんということもない印象だが、さすがに座面の前後方向の長さはたっぷりある。膝裏から前に下がるクッションに丸みが付けられているので、その部分がふくらはぎに軽く当たるが、押しては来ないので違和感は無い。ただ小柄な日本人女性だと少し干渉するかもしれない。しかし長時間走行でもシートのばね効果、つまりたわみ/反発が維持され、クルマ側の揺れのリズムと合わせてちょうどいい感じで身体が支えられつつ上下に揺れるので疲労の蓄積は少ない。このあたりはさすがにアメリカ育ち(1日に10時間淡々と、5~600マイルを走るのも当たり前の)、と思わせる。