Posted 21 Nov, 2019

BMW X2 20i M Sport

パワーパッケージ

パワートレインについては、普通にアクセルを踏み込んで動き出しを作り、そこからさらにもう少し押し込むと言うレベルの扱いに対しては、とくに発進からのちょっと元気な加速、単純な追い越し加速等では、いかにもスポーティなエンジン・トルクの強まり、伸びを強調する特性に仕込まれている。

エンジン各部の回転・往復運動部品とそれを支える骨格部分が、しっかりと剛性高く作られていることが明らかで、2軸2次バランサーの効果も含めて、「シューン」と雑振動少なく回る。

つまり、そこそこスムーズかつトルクがグイッと盛り上がり、加速の伸びを感じさせるものになっている。ターボ過給の応答遅れも若干はあるが、それが加速途中からの盛り上がり(気分の)に感じられるリズムに収まっている。

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とは言え、アクセルペダルの踏み込みのきっかけに対してはやや過剰気味のトルク発生反応、いわゆるピックアップがきつく出る瞬間が少なくない。逆にアクセルペダルの微妙な踏み込み止め・維持、そこからの戻し、再びジワッと踏み込み…等の細かな操作に対するエンジンのデリケートであってほしいところの応答は、BMWとして考えると、やや雑な印象を受けるのは否めない。これにはパワーパッケージ横置き形態による部分もありそうに思われる。つまり、エンジンのトルク変化が直接、駆動軸まわりの反トルクを生み、それがエンジンマウントに受け止められたところで駆動力が現れる。その応答遅れ、車体とタイヤの動きのズレなどをドライバーが感じている、という意味。

トランスミッションは8速、おそらくアイシン(他に対応する8速製品がないわけで。ZFの9HPを選ばなかった理由が知りたいものだが)。旋回に入って行く中でのシフトアップ抑制がほぼない(アクセルペダルを戻すとシフトアップしてしまう)し、その旋回状態から、あるいは巡航から少しアクセルペダルを踏み込んだところで、簡単にキックダウンする。ドライバーにとっては無用なキックダウンがけっこう多い(日本車ほどではないが、日本車的)。アクセルペダルを柔らかく踏み込んでいてエンジンも反応し始めているのに、キックダウンしてしまう。ドライビングのリズムにとっては邪魔な反応。またアクセルの戻し、少しだけ踏み込み、という右足の動きに対して、駆動力の追従に若干の段差、ぎくしゃくを感じる瞬間がところどころ現れる。わずかなものだが、俗にいう「ジャーク」である。いずれも同じBMWの、ZF8HP(縦置き)搭載車と比較して、の印象ではあるが。

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最近、アクセルペダル~エンジン応答が巧みに仕込まれていた欧州のいくつかのメーカーの最新モデルの中に、同様の細かなステップ状反応(トルク増減)が見られるようになっている。WLTP、さらにRDEへの対応でやむを得ず、ということなのかも。

4輪駆動機構(FWD基本・多板クラッチによる後軸への駆動分岐)については、通常走行域からウェット路面でのそこそこハイペースな走行、コーナリングの中でも、前後軸間の拘束と、それによるヨーイングの減衰などは、ほとんど2WD状態であった。おそらくどこか1輪の滑りが相当に大きくならないと、後軸駆動用クラッチパックがほとんどトルクを伝えない状態なのではないか。しかしクラッチパックのトルク伝達がわずかでもあれば、回転拘束も発生してリジッド4WD状態で走行、ちょっと駆動力を強めるとクラッチパックが滑って拘束をフリーにする方向=このクルマだとFWD状態になるのであって、ウェットの高速道路でもしっかり進路揺れを減衰する動きが出ないことは、4WDのメリットなしと判断する。X3ならば、前後軸間拘束の感触がもう少しあったはず(FRベースだし)。

まとめ

X2シリーズ全体に対して、ではなく、この仕様に限定して、動質において心地良いクルマとは言い難い面が多々ある。BMW日本仕様としていつものことではあるけれども、M Sportの仕様設定、例えばシートを主にした室内装備、そして何よりサスペンション仕様もよるところ大、なのでX2全体の評価にはならないが。

同じ骨格下半身、エンジニアリングを使ったクルマの、それも日本市場向け仕様としては、ミニ・クロスオーバーの現行モデル、とくにディーゼルエンジン搭載・4輪駆動(ALL4)の方が自動車としては格段によくまとまっている。

WORD : 両角岳彦