Posted 20 Jan, 2020

「窓の曇り」の分析と対策

「窓が曇る」“メカニズム"

窓が曇る。正確に言うと、ガラスの内面に細かい水滴がつく。これは室内の空気に含まれた水分が、冷たいガラスに触れて凝結することで起こる現象。空気中に気体(水蒸気)の状態で存在できる水の量は、温度によって変化する。気体~液体~固体という相変化を考える理科の基本、ですね。

エアコンスイッチON、温度設定を快適なところに、そして外気導入。これが基本。内気循環モードは、暑い時期の室内急冷、そしてほこりや匂いの遮断に使い、要らなくなったらすぐに戻しておくこと。

ここから理屈っぽく話を進めると、温度が高い空気の中には、より多くの水が水蒸気として存在できる。空気の温度が少し下がり、飽和水蒸気としても存在できなくなった水は凝結する。梅雨など雨の多い時期は、もともと外気の湿度が高い=水蒸気が多いわけで、ちょっとした温度変化でガラスの上に凝結する。冬は、外気温度は低くて湿度も低いが、クルマの中に入ると暖房で温度が上がり、そこに人間が発散する水分が入る。これが冷たいガラスと接すると……。とりわけスキー場などで雪が衣服についたままクルマに乗り込むと、外にいた時は「濡れている」という感覚はないが、暖房でみるみる蒸発して室内の空気の湿度を押し上げる。だから曇る。

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除湿+外気導入。曇ってしまったら暖める。

こういう簡単な理屈を振りまわしつつ考えると、じゃあどうすればいいか、という対策もわかりやすい。まずは室内の空気の湿度を下げればいい。除湿、である。

ということは、冬、暖房するだけであってもエアコンのスイッチを入れる。するとコンプレッサーが作動して冷媒が循環し、まずはそこに空気を通すことで冷やして飽和水蒸気のレベルを下げ、水分を凝結させる。これをヒーターで温めて設定温度に上げてから、室内に吹き出す。

そしてもうひとつ、窓が曇る状態では室内の空気の湿度が高い。経験的に、窓を開けて冷たい空気を入れれば曇りが取れる、というのはたいていの人が知っている。これもガラスに触れる空気の温度を下げ、同時に室内の湿度を下げる。さらにガラス面上に空気を流して、そに触れる水分を蒸発させる、という効果を得ているわけだ。

長方形の枠+暖める、というアイコンがリアウィンドウ用デフォッガー。けっこう電力を食うので、曇りが切れたらOFFに(自動的に切れるクルマもあるが)。扇形の枠のアイコンはフロントウィンドウの曇り取り/凍結除去。このスイッチがある場合、押せば「ウィンドウ下吹き出し口+温度高め+ファンはフル稼働」というモードになる。

 

換気をしないと、室内の空気は大量の水蒸気を含んだままの状態が続く。ここで空調の送風モードを「内気循環」、つまり「REC(recirculationの略)」と書いてあるポジションにしておくと、室内から吸い込んだ空気をまた吹き出す、という繰り返しになる。曇りは消えにくい。つまり曇りそうな時にはRECではなく「外気導入」にする。というよりも、内気循環はもともと外からほこりや匂いが入ってくるのを止めるのと、暑くなった室内を一気に冷やす時に使うためのモード。クルマの空調は外気導入モードが基本なのです。だいたい、密室状態にしておくと、乗っている人たちが吐く息で空気が汚れてゆく。運転しつつ、なんとなく頭が重い…ということだって起こりうる。

というわけで、窓が曇る時の空調は、

  1. エアコンはON。
  2. 温度調節を高めに設定すれば、その状態でも暖かい空気が出てくる。オートエアコンなら、温度設定に合わせて、自動的に吹き出し温度は調節される。
  3. 送風モードは外気導入。

という設定にすればいい。これは別に湿度の高い時だけでなく、吹き出し温度(オートエアコンなら温度設定)だけを変えるだけで、1年中ずっとこれが基本。

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でも曇ってしまった場合は、クルマに組み込まれた曇り取り(デフロスター、あるいはデフォッガー)を使うしかない。フロントウィンドウはヒーターの暖かい空気を下から吹きつける。リアウィンドウは合わせガラスの中間層に仕込んだ熱線で直接温める、というのが普通。それぞれのスイッチを設けたクルマも増えているが、フロント側はマニュアル操作でやらなくてはならないクルマもかなりある。この場合は、エアコンON、温度設定は高め(エンジンを冷間始動して水温が上がっていない時は待つしかない)、上向き/デフロスター吹き出し口を選択(足元吹き出しと両方できるクルマもある)、外気導入、というモードで、ファンスピードは高めにして一気に温風を送る。

曇ってから拭く、のではなく、最初から汚れをぬぐい取っておけば、曇りがつきにくくなる。ガラス洗剤で汚れを拭った後、「汚れを削り取る」極細繊維の布を使うのがおすすめ。

曇りの“核"をなくせばいい

さらにもうひとつ。窓が曇る=ガラス面に細かい水滴が凝集する、ためには、その核になる微小な物体が要る。つまりガラスが汚れているから、その汚れの粒子を核にして水滴が生まれ、曇る。板ガラスの製造工場から出てきたばかりの、まっさらのガラスは曇らない、のである。

人間が呼吸して水蒸気が増えた室内気に色々なほこりや油分が混じる。さらにはタバコの煙が流れたり……。そういう空気に触れてガラスは汚れてゆく。すると曇りがつきやすくなる。

とわかれば、曇りの基本対策がもうひとつ。ガラスの表面をきれいにしておくこと。空調云々よりもこっちが先か。どうも窓が曇る…と思ったら、ガラスをしっかりクリーニングしましょう。汚れの膜がうっすらとついて見える状態だったら、クリーニングは必須。それも冬場はより徹底的に。まずガラス用洗剤(家庭用でよい)で汚れを取り、乾いたきれいな布でから拭き。その後、最近はメガネのレンズクリーナーで、極細繊維で汚れを削り取る布地(商品名は「トレシー」など)がある。あれをそのまま使ってもいいし、自動車用品店などでは同じような素材で、もっと大判のクリーニングクロスも売っている。これでしっかり仕上げの拭き取り。

このガラス・クリーニング、やり始めたら前後のウィンドウだけでなく、サイドまで全部、それも内外ともにやっておきましょう。視界は全周クリア。これが基本です。