Posted 15 Jan, 2020

オートエアコンの“正しい”使い方

暑い室内で、オートエアコンの設定温度を思い切り下げても、変わるのは気分だけ?

1970年代の終わり、とある自動車専門誌の駆け出し編集部員だった夏、初めて任された企画が「オートエアコンのテスト」だった。車室内の気温を自動的にコントロールするエアコンを備えた日本車が発売された――トヨタ・セリカXX、つまり2代目セリカで加わった6気筒モデル、いまのスープラの祖先だった――のが、ちょうどこの時期。専門誌としては、いかなるものかを試してみよう、という話だったわけだ。

真夏の駐車場で、陽光を全身に浴びて停まっていたクルマの車室の中は、簡単に50°Cちかくなる。直射を受けたダッシュボード上面になると70°Cぐらいまで行くことだってある。そういう室内に潜り込んで――テストなんだから、まずは温度を下げないようにして、乗員が座るあたりや空調吹き出し口近くに置いた温度計の数値をチェック。そこでようやくエンジンを始動して、あとはストップウォッチをにらみつつ、室内温度が下がってゆくのを記録していった。こう書いていて、あの、息が詰まるような暑さの記憶が甦ってしまった……。

image
今にして思えば、自動車メーカーでは「クールダウン性能」と言っているやつの、ごく初歩的な確認試験だった。こういう時、つまり室内温度が設定温度よりも全然高い、サウナのように暑い、という状態だと、オートエアコンはエンジン始動、室温確認、という何秒かの間をおいて、吹き出し温度最低・風量最大で、一気に室内を冷しにかかるのである。

ところが、である。どうやら世の中の人々の中には、室内が暑いとオートエアコンでも温度設定を最低まで下げてしまう輩が少なからずいるらしい。じつは専門家であるはずの、自動車雑誌のスタッフでも、こういうヤツが時々いる。もうお分かりのはずだが、室温がすごく上がった状態では、設定温度が25°Cであろうと、18°Cまで下げようと、吹き出してくる風が最大冷却状態であるのに変わりはない。

普通にそのクルマに乗っている中で、まぁこのくらいが心地よい、という温度設定を見つけておけば、クールダウンや、逆に一気に暖めようという時(エンジン冷却水の温度が上がるまで待たされるが)、そこから設定を動かす意味はない。

ちなみにオートエアコンといっても、吹き出し温度と風量、吹き出し口の選択を、全て自動でやってくれるものだけでなく、吹き出し温度と風量だけで、吹き出し口の選択は手動、という簡易型もある。クールダウンの時は、吹き出し口はフェイスレベルだけ、つまり足元やデフロスターには回さないようにして、さらに内気循環(リサーキュレーション)にすると早く冷える。ただし室温が落ち着いたら、内気循環は止めて外から新鮮な空気を取り入れるようにしたほうがいい。内気循環を続けると、空気が濁るし、湿気が溜まって窓が曇りやすくなる。

梅雨や秋の長雨の頃、そしてさらには冬場など、湿度が高く、あるいは外気が冷えて窓が曇りやすい時に、何を思うのか内気循環にしたまま、窓を曇らせているドライバーは、これがまたけっこう多い(ガラスが汚れていると、さらに曇りやすい)。こういう時は外気導入にするのはもちろんだが、外気温がちょっと低くても、エアコンを作動させておけば、除湿効果があって曇らない。冬でもエアコン・スイッチを入れて、温度調節で適温にする、というのが室内を快適に、視界をクリアに保つ基本。オートエアコンなら四季を通じて「オート」モードにして、温度設定だけを適宜調整する、というのが基本的な使い方だと、ここでは理解しておいていただきたい。